SSSS/新宿在廊展 – epilogue –

SSSS / 新宿在廊展を終えて

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物事の区切りのために、ご挨拶のようなものをすることになりました。
もちろん、読まなくてもよいと思います。
私は初めから最後まで、何も表現せずにすんだからです。
それは以心伝心や作者の無言のメッセージによってではなく、
個々人が人生と動機によって立ち、形あるものやないものを求め、
集中力を持ってランプが照らす暖色の余白を埋めたことによってであることは、
額縁の外の世界で一晩眠って目覚めた今となっても確かなことです。

 

この個展においては、「来場者のみなさん」というものは存在せず、
一人一人が平等に経験し、共有できたことは、なに一つありませんでした。
同じように、期間前後を含めて一ヶ月、額縁の中の額縁のない世界で、
平和に暮らした私自身にも、同じ一日、ひとときはありませんでした。
個人の人生は、はかりしれないものであり、
だからこそ、ある瞬間、とてもゆっくりすれちがうとき、
出会った瞬間から終わりはじめている全てのできごとが、
全貌を知りえず、知られえない黄金の景色が、
こっそりこぼした紅茶やインクじみて、永遠の表象のように
愛しく染みこんで消えず、ただ静謐に薄れていくと、ただ私が考えています。
これも、私の内向的なひとりごとです。

 

価値観の無菌室で何も共有せず、生きている作者と絵と人間が、
同じ空間に平和に同居できたことを、
まるで生まれて初めて絵や人間に出会えたかのように幸福に思いますが、
話してしまいたい思い出話や奇跡の目撃談は枚挙にいとまがなく、
一人一人の持ち帰った秘密に満ちた個人的な人生の物語の欠片を、
壮大な叙事詩のように私一人の物語に編みこんでしまって、
吟遊詩人めいて高らかに謳いあげるようなことは、
いかにも気がすすまないのです。

 

かわりに、個展の生活に使われた音時計を分解して命名した
アルバムを置いていきます。こちらの方がよほど雄弁に、
あなただけの物語を思い出させてくれることでしょう。

 

次はしばらく、空の上の何もない白と黒のアトリエで、
ペンタブレットとキーボードを友に、会議も全てPC通話だけの、
理詰めなSFの脚本を書いて暮らします。

 

さようなら人類。

 

一生分の平和を有り難うございました。

 

浜崎ユウマ

 

 

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SSSS -sound track-

 

0.ちゅうしゃく

 

1.時間を飲んでいる

 

2.あなたの人生の散歩

 

3.幽霊とようせいのなぐさめ

 

4.今日の私たちの死

 

5.私は私の一番大切なものの狩人

 

6.おはなしは声以外で

 

7.じょうずに描け!

 

8.へんなパンやいてる

 

9.世界の全てとものすごくゆっくりすれちがう

 

10.SSSS(bonus track)

 

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